「無視させるかと思った……」
「えっ?缶コーヒーに?」
「えっ?」
朝のホームルームが終わってその後の休憩時間。いつものように私の席の前には真子が座っている。
その時間でも私はさっきの尾田クンとのことを考えていた。あの時尾田クンに無視されて終わると思っていたのにマサかの出来事だった。
「いや…だから。昨日レポートを遅い時間まで書いてその後に学校の近くの自動販売機でオレンジジュースを買ったのに機械の誤りで何故か缶コーヒーが出てきてムカついたって話をしていたんだけど……」
「あっゴメン…」
「自分で自分の話を説明するとか恥ずかしい。」
「アッ。アハハ……それで?その後はどうしたの?」
「その後に自動販売機を睨んでたら……」
途中で真子が話を止めた。
「どうしたの?」
「……紗耶香って何考えてるの?よくこういうことあるし。考え事多くない?もしも悩みがあるんだっ……」
「ちょっと……色々。」
真子の言うことに否定は出来なかった。1人で考え込むことはよくあってそれは反省すべき点でもあって注意すべき点でもあった。
「……あっそ。」
「癖なんだよね……本当に昔からの。困るよねー。」
こんな風な言い訳しか出来ない自分が馬鹿らしい。
「へぇ…」
真子は机の左隅でひじを付いて窓の外の景色を見てる。笑ってはいない。
「…。」
