自信満々で飛べるような話をしてる。

…飛べないよね?

そんなに自信を持って言われたら、思わず確認しちゃうよ。

『飛べないの?』

『へ?と、飛べないよ~。』

なんだか、気が抜けて笑えてきちゃった(笑)

天使って、こんなに軽いものなのかな。

『あ!飛び方知らないんだ!?ていうか、羽根のことじたい知らないんだっけ。』

だから、説明してって言ってるのに(汗)

『口で説明するより、見てもらった方が早いかな。』

そう言うと、私の頭の上にスッと手を伸ばした。

『ごめんなさい!』

『何もしてないけど…。』

天使が、あっけに取られた顔をしている。

『ごめんなさい。私、ちょっと色々あって、男の人の手が近付くのが苦手で。』

‐私は、過去に誘拐されたことがあり、騒ぐ私を殴りつけた、男の人の手と恐怖感を今も忘れられないでいる。最初は外も歩けなかったけど、両親や友達が悲しい顔をするのが、とても辛くて、忘れたフリをして生活している。
本当は今も外には出たくない。もしまた、あの人が目の前に現れたら…そう考えると、足がすくんでしまう。いつになったら、心から笑えるんだろう。‐