転校初日はクラスの注目をあびるものだけど、なんか女の子の群れ方が凄いような気がする。

私も今朝のコトを聞きたいから近づきたいんだけど…。

遠巻きにちょっとずつ近づいてみてはいるけど、これ以上はムリだなぁ。

落ち着いた頃に聞いてみよ。

席に向かって歩き出すと、群れの中から声がする。

『ユイがいる!ちょっとどいて!』

女の子を掻き分けて、天使がこっちに来る。

後ろで見てる女の子の視線が…。

とりあえず逃げてみた。

『ちょっと、なんで逃げんの?!』

『分かんないけど逃げちゃったぁ~。』

『じゃあ、とりあえず止まってよ!』

そう言って、手をつかんだ。

…つかんだ?!

『ご、ごめんなさい!もう逃げないから離して!!』

男の人の手が苦手で、思わず振り払ってしまった。

『あぁ~、なるほどね。ごめんね、もうやんない。』

あれ?なんか、普通に納得されちゃった?

でも、あんまり説明したいことじゃないから助かっちゃったかな。

『ところで、来るの遅かったね。飛んだ方が早いのに自転車なんて使うからだよ。』

『あのう…私は飛べないんですけど。それから、羽根がどうとかって話も、あなたが天使だって以外は何も理解できてない。』