もう一度、自転車をとめて駆け寄る。

『ねぇ、あんたの名前ってミソラ ユイ?』

この人やっぱり変!!名前知ってるなんて、恐すぎだよ!
羽根しょってるし。

『あの、やっぱり平気みたいなので、これで…。』

足早に自転車に乗ろうとすると、

『警戒しないでよ。オレ、天使。』

そう言うと男の子はフワッと飛んで見せた。

『えぇ~!!』

とにかくビックリするしかない。

羽根を広げて飛んでるんだもん。

ん?でも、羽根が1枚しかなくない!?

『信じる?』

男の子は、私の前に下りてきて聞く。

『信じる…しかないよね。見ちゃったんだし。
ねぇ、でも、なんで羽根が1枚しかないの?』

素朴な疑問をぶつけてみた。

『あのね、オレの羽根、下界に落とされちゃったの。で、探し続けて、やっと見つけた。それがユイ。』

全く頭の中が整理できず、ただ呆然としている私を見て、

『大丈夫、返ってくるまで待ってるから。』

そう言って微笑む男の子は、まるで天使のようだった…天使だけど。

『あの、全然わけが分からないんで、とりあえず話を聞かせてもらえますか?私は、あなたの羽根を拾った覚えがないので…。』