『その名前って、どこからきたの?』

メタトロンとか、天使とか、それらしい言葉を含んだ名前かと思ってて、全くかすってなくて以外だった。

『寺島は…なんとなく。目に入ってきた看板から取った名前。キラは、ユイの前世がつけてくれた“煌乃助”から取ったんだ。』

私の前世…。

『ねぇ、キラは何人の私と会ったの?』

少し困った顔して答える。

『3人。人は生まれる時に、前世の記憶を消して下りてくる。だから、これ以上は話せないから、前世はどんな人生だった?とかって聞かないでね。
あ!早く教室戻ろ!』

キラは、私の手を取って走り出した。

…どうしてだろう。頭をポンッとされてから、キラの手、怖くなくなっちゃった。逆に、ちょっと安心する。

それになんだか、掴まれた手が熱い。

教室に戻るとカナエが授業中にもかかわらず話し掛けてきた。

『ねぇ、寺島くんと、何話してたの??クラスの女子が大騒ぎしてたよ。なぁ~んか怪しいって。
実際どうなの?ユイから話し掛けるなんて、珍しいよね。』
朝はカナエに全部話そうと思ってたけど、今はなんだか、ためらっちゃう。
生まれて今まで、ずっと一緒で、隠し事なんてしたことがないけど、キラのことは言えなかった。