「どっち?」
「犬か人かあの写真あんたはどっちが大事なんだ?」
どっちがって聞かれても……。
榎藍は私に光をくれる。寂しいとき側にいてくれる。
家族は私を……。
「私に大事なものなんてない。私は自分を守るので精一杯。」
人間関係が悪くならないようにみんなと仲良くする。別に自分を偽っているわけじゃない。別にみんなが嫌いなわけじゃない。
ただ時々、疲れたななんてどこからかそんな疲労かんがくるだけだ。
「人間らしい答えだな。」
ふっと自嘲気味に笑って立ち上がった。
「さっさとご飯食べて榎藍の居場所教えてちょうだい。」
「威勢だけはいいよな。
いいぜ。居場所教えてやるよ。」
「本当に!?」
あっさりと手のひらをかえした男に疑いをもったが、榎藍の居場所がわかるということの事実の方がうれしくて私は疑いを打ち消してしまった。


