目の前にいる男の人を見て思わず目を見開く。

竹刀を片手に持ち、頬は汗で少し濡れていて、
制服のシャツのボタンは二、三個外されておりその間からは
引き締まった胸が少し見える。
きらきらと効果音がついてもいいんじゃないかと思うほどの美男子だ。



目の前の物すべて吸い込むんじゃないかってくらい綺麗な瞳…
オーラって本当にあるんだ…。


思わず見とれてしまう牡丹。
彼の瞳から目がはなせない。

「おっおい。俺の顔に何か付いているのか?あまり見られると気になって仕方がないのだが…。見ないでくれ。」

「えっあっ。すみません。」
見とれていたと自覚し、思わずその白い肌を赤く染める。


何だろう。ドキドキする。
思えば私、男の人とこうして二人で話した時ない…。
うわ!緊張してきた。どうしようっ。


百面相をする牡丹に対し、彼はどうしたんだ?と思いながら
そろそろ会議があることに気がつく。
牡丹に近づき、生徒会室の戸をスッと開ける。


「会議の時間だ。入れ」
戸にもたれ掛かり、こちらを見てくれ彼が色っぽく
よりいっそう鼓動を早くする。

「はっはい。えっと…せっ先輩?」


そういえばまだ、名前と学年聞いてなかった…!


「ん?あぁ、そういえばまだ自己紹介がまだだったな。俺の名は紅和人(くれないかずと)。二年だ。それと―…」


やっぱり二年生だったんだ!
先輩であっててよかったぁ。



「この学校の生徒会長をしている」
私はまた目を見開いてしまうー…。

桜は散り暖かくなってきた5月のある日。
私は彼と出会った。
何故か分からないけれど、一目見たときから
私の鼓動は不規則に波立つ。



―侍男子、この高校の生徒会長二年紅和人のことをいう。