要から噂話を聞いてから1週間。

期末テストが近い事もあり授業で小テストを何度もやり終えた紅音は疲れきったように机に項垂れた。





「あ〜〜〜…なんで世の中には理数があるんだろう。社会に出て使うことなんかその筋に行かないと数えるほどでしょう。もしくは使わないかも」

「世の学生の大半が思っていることを今更言うな」

「そう言いながらも要は苦じゃないんだろ?」

「苦手じゃないからな。あ、生物は苦手かもな」

「なんで?」

「生物の写真、キモい」

「・・・・・・」





ふう、と溜息して紅音は顔を上げると大きく伸びをして、その流れで天井を仰いだ。椅子を傾ける体勢の紅音に要が、ひっくり返るぞ。と声を掛けるが、紅音はだいじょーぶ。とゆらゆら揺れる。





「…そういえばさ」

「なに?」

「あれから魔法使いに電話してないのか?」





「ああ…」と椅子ブランコをやめて要に顔を向けた。





「するわけないじゃん。あの1回きりだよ」

「ふーん。諦め早いな」

「信憑性のないものに頼るほど追い込まれてませんから」

「あっそ」





不思議そうに紅音は首を傾げた。





「どうした?そんなに気にするなんて」

「いや。ただどうしたかと思っただけだ」





なんとなく気になりながらも、それ以上は問いかけず話はそれで終わった。