藁にもすがる思いで、紅音はブレスレットへと名を呼んだ。





「ロゼ」





初登場の時のように頭上に陣が現れるのだろうか。

とにかく早く来て欲しいとドキドキと待つ紅音なのだが、ブレスレットはうんともすんとも言わない。

あれ?

もう一度、今度は先ほどよりも声を大きくして呼びかける。しかし、やはり結果は同じ。

……なんだこれ。まさか騙された?これはたから見れば、イタイ奴じゃん、俺…。





「ロゼ…?ちょ、ねえ、こういう時にこそ役立つ為のものだと俺は思うんだけど…」





ロゼ?

ロゼちゃーん。

ロゼ様?

ローゼ?

何度試そうと、ブレスレットからは何の反応もない。





「う…嘘だろ…なあロゼ…」





もう泣いてしまう紅音は、一度ブレスレットに呼びかけた。





「ロゼ、頼むから助けてくれよ…!」





なんで無視すんだコスプレ女あああ。

切羽詰まると人は本音を出してしまい、キャラを崩壊させてしまうものなんだと、後に紅音は悟った。