「え…じゃあ、ロゼさん、今はミカミ宰相の所に…?」

「ああ」





侯爵夫人に頼まれた買い物の為、メインストリートまでやって来た瑠璃。エイも話ついでにその買い物を手伝っており、既にその手には料理に使う材料の入った籠が握られている。





「あの人に下手な嘘はつけない。ロゼの事は伏せて報告したんだけど、やっぱり嗅ぎつけるもんだな…一体、どっから情報を仕入れてるんだか…」

「宰相の情報網は国一ですからね…国王一家の弱味も手に入れてるって噂ですし…」

「……ああ…そうなると、心配なのはロゼの契約主、なんだよなぁ…」





果物屋の女主人に欲しいものを告げている瑠璃の後ろで、はあ、と隠すことなく溜息をエイは零す。「契約主さん、ですか…?何か関係してるんですか…?」女主人が籠に果物を詰めてくれている合間に、不思議そうに瑠璃が尋ねる。





「まあ、無関係とも言えなくてね。流石にそこまで突き止めていたら、その場に居合わせたか盗みの陣でも仕込んでたかを、疑うけど」

「盗みの陣を無断で理由も無く扱うのは違法ですよ…」

「そう。だから、もし知っていたとしても、今回はそこには触れずにいくだろうけど……大丈夫かねぇ、ロゼ」





それに、契約主の方も。

友人と、その友人の契約相手の心配をしつつ、エイは果物を受け取り歩き出した瑠璃の後に続いた。