一列、二列…着々と揃い始めている。
「あ、そうそう。一年の司波さんと浅生先輩ってイトコなんだって」
「へえ。始めて知った」
「俺も昨日知った…よし、出来た」
全面綺麗に揃ったキューブを手渡された要はマジマジと見つめて紅音に顔を向けた。
「こういうのは得意だよな、お前」
「なんで哀れむ目を向ける?」
褒められたよりもむしろ貶された感満載になった。
学校を終えて家へと帰宅すると、ロゼの姿はどこにもなかった。散らかっていた本も読み終えた本から返却されているようで、徐々に減りつつある。
「ロゼー?」
一応声をかけながら家の中を探したがやはりいないようで、紅音は何処かに出かけたのかとすぐに探すのをやめた。
夕飯も食べ終えテレビや携帯で時間を潰していると、ロゼがやがて玄関から帰って来た音が。
「おかえりー」
「ただいま戻りました」
にこやかに紅音が声をかけると、ロゼは一瞬ほっとしたように肩から力を抜いた。
「何処に行ってたの?」
「私の国の知り合いが来てたので、観光案内してました」
「……………魔法使いも観光案内とかするんだね」
「だから、魔法使いじゃなくて陣使いですって」
紅音からしてみれば言い方を変えただけにしか思えず、どちらでも良かった。ロゼ的には全く違うらしいが。
「あの、時任さん」
「なに?」
「……お姉さんって、どんな方でした?」
首を傾げる紅音。どうして急にロゼはそんな事を聞いてきたのだろうか。
「どうしたの突然…まぁ、そうだな………物腰が柔らかい。鈍臭いとまでは言わないけど、少し危なっかしい人でさ」
「仲はよろしかったんですか?」
「うん、よかったよ」
そうですか。そう笑ったロゼに紅音は頷いていたが、内心では訝しく思っていた。こんなタイミングで尋ねるのならば、何かその理由がある。そうとしか思えなかったが、なんだか尋ねる気にはなれず紅音はその場を流して、別の話題を振った。