尋ねられたロゼはコーヒーを一口飲むと、口を開いた。





「アルファベットは、ランクを表してます」

「ランク?」

「はい。陣使いにもランクがあるんですが、初級はAceと始まり、Jack・Queen・King・Jokerとランクは上がります」

「トランプみたいだね」

「そうですね。ランクに従いこれらの本が読めていくのです。AceならAの印がある本を、JackならAceとJackを、という風に。JackとJokerは頭文字がかぶるので、JokerはJJと表記されますけど」





なるほど。と納得した紅音はKランクの本を手にとって見せる。





「ロゼはKingってこと?」

「はい」

「最高ランクまであと一つってことか」

「いえ。Jokerが最高ランクではありません」





そうなの?と紅音は首を傾げる。





「Jokerの上にもまだランクが存在します。通り名がもらえるんですよ」

「通り名?西の魔女とかそんなの?」





東西南北や色などで強い者を例えるアレか?

ロゼははい。と頷く。





「細かい事は省きますけど、他にも四大賢者や大元帥などお偉方はいますし…ああでも」





ん?と紅音はふと顔を上げたロゼを見る。





「神官は誰でもなれるものではありませんから、強いて言うならその方が最強ですかねぇ」

「……まあつまり、陣使いにも縦社会があって、その頂点が神官なんだね?」

「ですかね」





以外と複雑な感じなのかと現実感が増した気がした。





「通り名を受け取るのが私の目標なんですよ。そのためにも実績は必要なので、時任さんのお姉さんは必ず見つけ出します」

「それは心強いね。ここまで頑張ってくれてるし、俺としても頼もしいよ」





ただこの本を全部読みきれるの?

流石にそれは尋ねなかった。