借り物らしい本をそっと片付けて見えてきたソファの一角に腰掛ける。
…なんだってこんなに困難になったんだろう。
もっと簡単に見つかると思っていた紅音は溜息を吐いて、また本に没頭しているロゼを見る。
「…何か飲む?」
「え?ああ、じゃあいいですか?」
「いーよ。何がいい?」
「……コーヒーがいいです。昔、飲んだ事があります」
ちょっと考えたロゼに首を傾げる。
「ロゼの世界にはコーヒーないの?」
「似たようなものならありますよ。苦味はあまりありませんが…コーヒー、いいですか?」
「うん。ちょっと待ってて」
似たようなものならって、どんなものだ?ちょっと気になる。
キッチンに立った紅音はコーヒー豆を取り出して、ふと動きを止めた。
ーーー「紅音、コーヒーいれてあげるね」
「………」
脳裏に思い浮かぶ笑顔に、自然と表情が暗くなる。
…どこにいるんだよ、紫音姉さん。
姉がいなくなってから我流で始めたコーヒーをカップに注ぎ、リビングに戻る。
「はい、出来たよ」
「ありがとうございます」
ロゼにカップを手渡し、手持ち無沙汰に懲りずにまた本を手に取る。今度は「Jー3」とあった。他にも数冊みると、「Qー1」「Qー2」などあった。
「ねえ、このQとかAとかってなに?」