着替えて教室に戻ると既に生徒はそろい始めていた。女子は髪が濡れており、持参したドライヤーで乾かしている者もちらほらといる。
「次なんだっけ?」
「化学」
「…おお…」
唯一の苦手科目に条件反射に身震いしていた。ほぼ睡眠学習で授業を済ませ、昼休み。紅音は写真部所属の友人、高倉柚から写真を売りつけられていた。
「…いや、いらない」
「なぬ!?なら竹平は?」
「ちょうどキャンディ(竹平家のペット)の遊び道具が欲しかった」
「それ使い道違う!!!」
慌てて柚は要から写真を奪い返す。要は残念そうにしていたが、隣で紅音はそんな要を残酷な奴と顔を青ざめていた。
「えーっと…急になに?いきなりこの子の写真押し売りって」
「半月くらい前かな…転入してきた一年生、知らないか?」
「あー!なんか、可愛い子が転入してきたって話題になってた。ね?」
「あー…多分?」
「要相変わらず彼女以外興味ないよね…」
興味なさげに、しかもうろ覚えな要に紅音は一途と言えばいいのかなんなのかと。
「一年A組の司波雪乃っていうんだ」
「へぇー」
改めて、柚から借りた写真を見る。肩ぐらいのボブが似合った、幼い顔立ちの美少女。周りが騒ぎたくなるのも分かる。
「…マイナスイオンとか出してそうだね」
「ああ」
「とりあえず話すと癒されるぞ」

