ーーーーガラ.
「やっぱりここにいたのか」
紅音と同じ合鍵を使い、生徒会を終わらせた要は扉を開けた。奥の方にあるソファに寝そべり、要が持ち込んだ先月の雑誌を眺めていた紅音が顔を上げる。
「待たせて悪かったな」
「全然。生徒会お疲れー」
ひらひらと紅音は労いの言葉と共に手を振り、雑誌を机の上に置くと立ち上がると窓の外を眺めた。
「雨止まないなー」
「だからいれて行ってやるって言ってるだろ」
「今日はどうしていれてくれたん?」
「気分だ」
「……そうですか…」
さっさと室内から出て行く要に続き、廊下に出た紅音は、扉を閉める前に室内を見つめた。電気もついてなく薄暗い、何の変哲もない、物置小屋のような空き教室。
「時任?」
動きを止めてしまった紅音に要が不思議そうに声をかける。
「…要。帰りにコンビニ寄ろう」
「は?別にいいけど」
ゆっくりと、扉をスライドさせて、紅音は最後に鍵をかけた。