「いえいえ。こちらでは魔法使いなんて呼ばれてますけど、私共では陣使いと呼んでます」
「じんつかい?」
「先程私が出てきた光る陣。あれを操る事が出来る者の事を、そう言います」
「魔法使いとどう違うの」
「さあ?私は本物の魔法使いを見たことないので」
そう言って苦笑するロゼを、じっと見つめる。
…見たところ、悪そうなやつには見えない。
少しの警戒心は残したまま、紅音は思い切って言った。
「この際陣使いだろうがなんでもいい。繋がったってことは、俺の願いを叶えてくれるんだろ?」
「まあ、ものにもよりますけど」
「難しくはないよ。姉を見つけてほしいんだ」
「姉?」
意外そうに目を瞬かせたロゼに頷く。
「うん。一月ぐらい前に姉の紫音が突然いなくなったんだ」
「一月前…家出では?」
「だとしても、見つけてほしい。とにかく無事を確認したいんだよ」
しばらくロゼは見定めるように紅音を見つめていたが、一つ頷くと笑顔を見せた。
「はい。こうして出会ったのだから、その願いは叶えましょう!えーっと、お名前は?」
「時任紅音」
「では紅音さんの願い、このロゼ・クロッカスがパパッと叶えます」
頼もしく言い切ったロゼに、紅音はほんの少し肩の力を抜いて笑った。