カンカンと、台所でヤカンが沸く音がする。

笛付きの蓋をしないから、母は沸騰している事に気付いて無いみたいだ。

仕方無く、僕は声を上げて促した。

「母さん、ヤカン!危ないよー!」

トタトタと、廊下を駆けてくる音がする。

「熱っ!」

慌てて持ったようで、母が小さく声を上げた。

「大丈夫?」
「ああ、すまないねぇ。」

慌てん坊の母だから、火傷しないか心配だ。

湯飲みを三つ、お茶葉を用意すると、一つずつ丁寧に煎れてくれた。

僕が一口飲むと、母ともう一人、僕の連れも後に続いて一口。

母はふぅと息を吐くと、こう言った。

「でも、ついに尚輝が彼女を連れてくるとはねぇ。」
「よせよ母さん……。」
「あの、尚輝はこんな子ですけど、良い子ですから。」

尚輝を宜しくお願いしますね、と母が続ける。

何の三者面談だよ、と僕は苦笑した。