ふふ、と自嘲気味に笑うと、梅子は続けて言った。

「馬鹿だと思うでしょ?でもね、どうしようも無かったの。自分に嘘を付き続ける事も出来ないし……どうしようも無かったの……。」

梅子が僕に詰め寄った。

顔と顔がすぐ近くにある。

「でも安心してね、最初に会った時、ホテルに行ったけど、お兄ちゃんは何もしてないから。あれも嘘。私、嘘付いてばっかり。自分にも、お兄ちゃんにも……馬鹿だよね……本当に……。」
「梅子……。」

僕は居た堪れなくなり、梅子をそっと抱き締めた。

梅子が咽び泣く。

涙が僕の頬にかかった。

「お兄ちゃん、お願い、どうか…………。」

梅子は耳元で囁くと、グッと僕にしがみついた。