「どうして……。」

どうして、七年もの間姿を消し、今僕の前に現れたのか。

という質問を言い終わる前に、梅子は語り始めた。

「お兄ちゃんが……アタシ、お兄ちゃんが好きだったの……。」
「!?」
「嘘、って思ったでしょ?本気よ。私、お兄ちゃんの事を愛しているの。ずっと……ずっと好きだったの……。」

梅子が啜り泣く声を、今度は僕が呆然と聞いた。

「お兄ちゃんが全盲な事を利用したの。このままずっと傍に居たら、お兄ちゃんは私を妹としか見てくれないけれど、長い間私の存在を忘れてくれれば、次に会った時、きっと私を"女"として見てくれるって……。だからまず、全寮制の学校を受ける事にしたの。近くに居たら、計画がバレるかもしれないから。」
「そんな……そんな……。」

言葉にならない。

頭が真っ白になった。