そのままの状態で一分、二分、三分。

五分が過ぎた頃。

待ち合わせの相手は、ゆっくりとした歩調で現れた。

聞きなれた靴の音。

僕の近くまで来ると、相手はゆっくりと僕の隣に座った。

軽く触れる腕と腕。

微かに感じた体温、服の生地。

これに今まで懐かしさを思い出せ無かったのは迂濶だった。

それとも相手の方が上手だったという事か。

僕は息を静かに吐くと、相手に向かってこう訊いた。










「お前……梅子だろう?」