発信音が鳴り響き、相手先に繋がれる。

病院では携帯は御法度だろうが、そうも言ってられない。

「もしもし…。」

起きているか心配だったが、絵夢は出てくれた。

「絵夢、君に訊きたい事がある。」
「何?」

眠たそうなのが受話器越しでも分かるが仕方がない。

単刀直入に、用件だけを伝えた。

「僕が入院している事、誰から訊いたんだ?」

例えば、俺の知り合いから?

と訊いた。

すると絵夢は少し間を置いた後にこう答えた。

「…妹…さん?」
「…。」
「"お兄ちゃんが大変なんです"って、いきなり電話があって…。」
「そうか…。」

カチリ。

僕の頭の中でパズルのピースが填まっていく。

「ありがとう。また電話する。」
「え…ちょっと尚輝?」

最後の方は返事もせずに通話を切った。

そして今度は母に訊いた。

「母さん、俺が運ばれた現場ってどの辺?」
「え?どうしたのいきなり…。」
「いいから答えてくれ───。」

まだ、確信には至らない。

だけど、一つずつ、一つずつピースを填めていけば、パズルは完成するんだ。

僕はやれる限りをやる事にした。