「…。」

手紙を持つ手にギュッと力が隠る。

文面からして、あの時通報したのは、その場に居合わせた梅子だろう。

半分錯乱しながら、見えない相手を追い掛けたが、実は間違いでも無かった訳だ。

(何故……何故なんだ?梅……。)

こんな回りくどいやり方をしなければいけない程、七年もの間姿を消さなければいけない程、お前に何があったというのだろう。

理解の範疇を越えた妹の行動に、僕は怒りさえ覚えていた。

「誰からの手紙?」

と、母が訊いてきたが、「いや…。」と有耶無耶に返事をする。

これ以上、母には負担を掛けられない。

僕は独りで妹を見付け出す決心をすると、携帯を取り出し、電話を掛けた。