「梅、梅……。」

何処へ向かっているのかなんて分かりはしない。

ただ足を動かした。

梅子が七年ぶりに此処へ来た。

家族の居る、この場所へ手紙を入れていったんだ。

その事実が僕を突き動かした。

梅子に会いたい。

一目で良いから。

梅、梅、梅、梅……。

半ば錯乱しながら、彷徨いていた僕は、こちらに向かって走ってきていた自動車の事等気付かなかった。



そして、



大きなクラクションの音がしたかと思った瞬間、



僕の意識はそこで途切れた。