乗り継いで来た場所は、昨日とは多分違う居酒屋。

多分、というのはベロンベロンに酔っぱらっていた為、記憶が曖昧だからだ。

アルコールに流されて、間違いを犯すだなんて情けないと、思い出してまた自己嫌悪に陥る。

暖簾を潜り抜け、店員に案内された席に座り、メニューを絵夢に読んでもらって、適当に注文した。

「居酒屋、好きですね。」

おしぼりで手を拭いているであろう彼女に、何となくそんな事を言った。

案の定その最中だったらしく、僕がおしぼりを見失っている事に気付くと、手渡してくれた。

「普段がキャバクラだからね……プライベートで飲む時ぐらい、こういう所がいいのよ。」

飲むのを控えないのは彼女らしいと言えば良いのだろうか、この場合。

よく肝臓を壊さないですね、とか余計なお世話だというやり取りの後、やって来たお摘みを暫く黙々と啄んだ。