「なんなんだよ全く……。」

溜め息を吐いたものの、わざわざ僕の為に戻って来てくれた妹の好意と行為に、満更でもない気持ちで頬を撫でる。

しかし──少し違和感を覚え、そのまま戻ろうとした足を止めて独り言ちた。

(──わざわざ。)

胸騒ぎのような類いなのか、考え過ぎなのかもしれない。

でも、妹が言った一言が頭を離れない。

「またね。──って……。」

それはさっき、家族揃っていた時に言えば良かったんじゃないか。

僕は少し向き直ると、ポツリと落ちた空からの目潰しに舌打ちをして、今度こそ家の中へと戻って行った。

その日は、一日中どしゃ降りになった。










攪恋慕~かくれんぼ~