定時である七時を迎えると、皆帰宅の準備を始める。

僕は溜め息を一つ吐くと、今日の待ち合わせ場所であり、失敗現場である西新井町へのルートを思い浮かべていた。

誠心誠意謝れば、一度の過ちぐらい許してくれないだろうか……。

古風な考え方かもしれないが、色んな事を飛び越えてこのまま付き合う事になるというのは、やはり違う気がする。

(……そもそも……)

僕が障害者である事を、彼女はちゃんと理解しているのだろうか。

僕みたいな男と付き合うよりも、もっと無難な人を選んだ方が、彼女の為にもなるのではないか。

(謝るがてら……)

そう伝えてみよう。

意を決した僕は、椅子から立ち上がると事務所を出ようとした。

「高橋さん!」

そこへ室井さんが呼び掛けた。