常人でも勘が頼りになるのに、僕は割増で研ぎ澄まさなければならない。

しかし、その勘が常人より鋭くなったのは、目が見えないお陰なんて言うのはおかしいだろうか。

最後の返事が唯一の手懸かりであり、妹が隠れそうな場所を推理して捜す。

居間を抜け、両親の寝室に差し掛かると、ドアに耳を当て聞き耳を立てる。

多分、間違いない。

僕は部屋に入るとダブルベッドの側にある、一際大きいクローゼットに手をかけ、ゆっくりと開けた。

中に妹の気配を感じたので、嬉しそうに声を上げた。

「見~つけた♪」
「えぇ!?もう!?早すぎるよお兄ちゃん。ズルしてないよね?」

ムスッとしたような口調で、妹が抗議をする。

「梅子が隠れるの下手なんだよ。」

僕は笑うと、梅子の頭を撫でるというより、グシャグシャに髪型を乱してあげた。