ただ、成人を過ぎ学校を卒業した僕に、世間の風当たりは厳しく、一級障害者に仕事を提供してくれる会社は中々無かった。

不採用の通知が来る度に落ち込んだりもしたが、家族の支えもあり、遂にここ、『如月』が僕を雇ってくれる事になった。

手放しで喜んだ、そりゃもう大喜びさ。

神様という存在が居るならば、ちゃんと見てくれるんだな……と、感慨に耽った。

心残りがあるとするならば、梅子の事だ。

梅子が、僕の就職祝いに参加する事は無かったからだ。

あの日。

今から七年前。

僕はまだ高校生で、梅子は中学三年。

その当時、梅子は決して頭の悪い方では無かったが、自分が担任の先生に保証された学校よりさらに上のレベルの全寮制私立を目指し、見事合格した。

必死に勉強したのだろう。

合格通知を見た時は、嬉しさの余り涙ぐんでいるようだった。

そして梅子は親元離れた寮へと、一人巣立ったのだ。