「白石さんと話すのはこれが初めてだね」


ソファーにゆっくりと腰をおろし、いつもの王子スマイルで話し始める桜庭竜哉。


「明美さんが留守の間、ここで働くんでしょ?」


はっ! そうだ!
そのこと断るんだった。

働きませんってきっぱり断らなきゃっ!


「えっと……その事なんだけど……」


「もしかして、働きません…なんて言うつもりじゃないよね?」



えっ!?
なんでわかったの!?
まだ一言も言ってないのに!


何この人、エスパーかなんか?


でも、わかってるなら話が早い。
めんどくさい話をする必要もなさそうだしね。


「実はそのつもりで――……「そんなの許さないよ?」


「…えっ?」


「白石さんにはここで働いてもらう。…どうしても働きたくないなら、そうだなぁ…」



立ち上がり、アゴに手を当て考え込む桜庭竜哉。
そして、あたしの前まで来て舐めまわすようにあたしを見る。


ってゆうか、近い!!
顔が近いですっ!!

そして、何かを思いついたように指をたてた。



「賭けをしようか?」


「はい? ……かけ?」


「そう、賭け。俺に勝ったら、ここでは働かなくていい」


やった!
賭けに勝てばここにいなくて済むんだ!