事の始まりは三日前。
家に残された置き手紙だった……。


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さゆへ
ママ突然パパに逢いたくなっちゃった!
ということで、パパが仕事してるアメリカにちょっと行ってきまーす♥

P.S.ママがいない間、ここで雇ってもらってね!!
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「…なんじゃこりゃぁあああっ!!」


あたし白石紗柚菜、16歳。
つい最近雅学園に入学した、ピチピチの高校一年です!


ちなみに雅学園とは、財閥の御曹司や有名会社の社長令嬢など通う、超お金持ちエリート学校なの。


その中でただ一人庶民のあたしは、特待生として通っているのです!!


…と、まぁ自己紹介はこの辺にして。



問題はこの置き手紙!



いきなりパパに逢いにアメリカ!?
そんなこと一つも聞いてないんですけど!!
それに娘をおいてアメリカって……ママはあたしが大切じゃないわけ!?

しかも、置き手紙で伝えるってどういうことっ!?
ってゆーかママ毎日パパと電話してるじゃん!!


だいたい、ママとパパはいつもやることが突然すぎるんだよ!
学校から帰ってきたあたしに、いつも置き手紙で伝えてさっ。
変な番組のドッキリよりも驚くわ!!
多分、ママたちのせいであたしの寿命三年は縮まってるよ……。


久々の置き手紙に、ふつふつと怒りがこみあげて、思わず手紙をグシャッと握りつぶしてしまった。


ハッ! いかんいかん、確かまだ意味のわかんないこと書いてたよね?

一度握りつぶした手紙を伸ばして、下の方に目をやる。


“ここで雇ってもらってね”って…どういう意味?
手紙に書かれた地図は、テキトーな図でここって書いてる。



あたし的にはここで一人暮らしでもかまわないんだけどなぁ…。
いやっ、てゆーかむしろそっちの方がありがたい!