真色ーシンシキー




「九?」


僕が黙っているので疑問に思ったのか、六唯はわざわざ隣に来てこちらの様子を伺うような仕草をした。



「あ、ごめん」





・・・・・・・・・・・。




この先なんて言おう。





六唯も無意識で答えたなんて思ってないよね・・・。

いやていうかほんとは切り捨てようとしてたなんて・・・・





うん、口が裂けても言えない。





―えーと。





「・・・・内緒♪」






考え得る選択肢の中で一番当たり障りのない返事にたどり着いた九重は、さも当然かのように笑みを浮かべる。




「??」




きょとんとする六唯を尻目に、九重は上機嫌で歩きだした。




「そろそろ行こっ、六!授業始まっちゃうよ」






そう言い残し、階下へ降りていく九重。











屋上にひとり置き去りにされた六唯はぽつりと、風に消え入りそうなほど小さく・・・呟いた。







「・・・答えになってない。」