真色ーシンシキー

元来九重は人のことばかりを気遣ってしまう性質が強い。


それは五つ年齢の離れた姉に対してであったり、幼少時代からの親友に向けられたものであったり。はたまた九にとってほとんど関心のない人々に対しても、それは遺憾なく発揮されてきた。





そのあまりありがたくない能力はあまりありがたくない状況で、あまりありがたくない形に・・・現れてしまった。





そう、まさに今。





自分だけが助かりたいいや汚いことを言えば六唯のことなんてものすごくど―でもいい。





(って思ってたんだけどな)




自分が思い浮かべていた言葉と、口に出した言葉は意味合いも響きもまるで違っていた。



その不自然さに首を傾げつつも。九重は自分のそんな部分を快く感じていた。







とまあ、それはさておき。


でも、
「お前は違うぞ行来宮?」




ナニガデスカ?