真色ーシンシキー

「よー、お前ら!遅かったな」



「爽雲(さくも)先生…」

上下の体育ジャージ(黒)にバンダナ。それが彼ー爽雲の基本スタイルだ。

他の服を持っていないのではないかというほど、春夏秋冬ずっと同じジャージを着ている。


「多分おまえらが最後だな」


言いながら、二人の名前が書かれた名簿を取り出し、赤ペンで何やら書き込んでいる。




…うわー、なんかチェックしてるし。



爽雲は名簿に視線を落としたまま、
"今日はどうして遅れたのか?゛と問い詰めてきた。




…来たよ。



九重は焦っていた。





もうお気づきだろうが、

゛アンラッキーday゛というのは爽雲が校門当番に立つ日のことである。


何が悪いのかというと、
まず第一に彼が当番の日に捕まってしまうと不良だろうが真面目な生徒だろうが逃げることはほぼ不可能だからだ。


しかも恐ろしいことに彼は全校生徒分の名簿を持ち歩いていて、あまりに遅刻が目立つ生徒には゛特別な罰゛が下されるとか何とか…


それこそ事故に遭った、というならまだしも

「寝坊しました☆」なんて答えた日には目もあてられない。







そして、なぜ九重が焦っているのかといえば……