LOVE・GAMELY -恋愛遊戯- (全199話)

■私の…
○Side 奈穂

【どうせあんたの好きな洋は帰ってこないんだから】

そんな風に言わないで…
洋くんはきっと帰ってくる
結婚するって約束してるんだもの


《パンッ!!》
『痛…ッ』

ほぼ無意識…
私の手は洋くんの頬を引っ叩いてしまった

『…そんなに言うなら…他を当たります』


洋くんと喧嘩したかったわけじゃない
洋くんが戻ってくると信じていたかっただけ

ただ…それだけなのに…







『相模… ちょっと話いいかな?』

次の日の朝、学校に来た私に隣のクラスの男の子がそう声を掛ける

『俺、牧原ってんだけど… わかる?』
『はい…』

名前は初めて知ったけど顔は見た事ある


『俺、ずっと相模が好きだったんだ…』

牧原くんは顔を赤くして言う
その姿をどうしても不思議に思ってしまう

話した事も遊んだ事もない人物
そんな私の何処を好いてくれたんだろう


『真中、おはよー』

窓の外から微かに聞こえた声
ハッとし、視線を移す

するとそこにはいつもと変わらぬ様子の洋くんがいた

いつもの笑顔にいつもの格好
傍にはいつものように沢山の友達

『あの… 相模の返事は?』
『あ…』

牧原くんは未だ出ぬ答えに不安の色を見せる

『お友達でも良ければ…』

まるで初めから「私の洋くん」はいなかったみたいね…