……え? 声のした後ろに体を向ける あぁ…やっと、会えた 周りの雑音がすべて聞こえなくなり、 あのときからずっと考えていた、 彼しか見えなくなっていた 涙が、こぼれた 「あっ…、…違う!泣いてない!」 「無理するな。見ないから」 彼はそう言って、目をつむる さっきとは違う、 胸の痛みを感じた 今度は、なにか締め付けられるような キリキリした痛みだった 袖で、すぐに涙を拭う 「……、」 しばらくして、ゆっくり目を開けた彼は 一歩、私に近づいた