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「ん、わかった。はい。じゃあ」
保健室
陸先輩は部屋の窓側に立ち、
携帯を閉じた
「理乃、用心あるから先に帰るって」
「あ…、そうですか。分かりました」
理乃さん…帰っちゃったのか
ちょっと、
理乃さんと話したかったんだけどな
「先生いねぇなぁ…
……ちょっと足、見してみ?」
ベッドに座った私に近づいて
腰を降ろす
…なんか変な感じだなぁ…
「あらあら…また腫れが増してるし。」
陸先輩の手が
なにも履いてない私の足に触れる
触れると激痛が走る
「あっ…ごめん、痛かったか?」
しかめた私の顔をみた
陸先輩が瞬時に手を離す
「はい…、ちょっと」
「…湿布とってくるから…、
ちょっと待ってて」
すくっと立ち上がった陸先輩が
そのまま棚に向かった
その背中を目で追う
なんで陸先輩は胸が痛くならないんだろう
なんで咲坂くんだと痛くなるのかな
でも、
今、陸先輩が咲坂くんだったらな―――

