「あいつん家、お父さんが有名な
化粧品会社の社長で、金持ちなの。
だからさっき専属執事に
電話してトラックで運ばせて来やがったわ」
理乃さんが耳打ちしてきた
相変わらず、
理乃さんは会長がらみになると
言葉使いが汚い
でもなんだかんだいって
理乃さんはそこまで会長のこと嫌ってない
…はず
「そうなんですか……、知らなかった…」
もう約半年も一緒に活動してきたのに、
まだ1人1人のことはよくしらない
早くみんなのことが知りたいな…
「んじゃ、もう南音楽室は貸しきってるから
南音楽室行こっか!」
会長はひとりで鼻唄を歌いながらいってしまった
***
「…これは、こうやって弦をおさえる」
「うぅ…指がつる…!!」
ギターって思ってたよりも何倍も難しい…!!
音楽室で赤音会長(の執事)が
もってきてくれたギターを練習している
隣には咲坂くん
音楽室にもともとおいてある
楽器の匂いのなか、
ほのかに咲坂くんの匂いが混じる
ギターを熱心に教えてくれるのに
私はそっちのことばかり気がいってしまう
申し訳ない…

