エールミー!




「……咲坂くんっ…」


つい、言葉がもれた




「…、それが沙田ちゃんにとって

かけがえのないもので、

一番大切なものなんだよ」



(そして、それが恋……)




「…そうなんだ………、

あっ……なんかスッキリしました…

ありがとうございます」




「いいえ、どういたしまして」


(もう分かってるよね、沙田ちゃん、
その胸の痛みがなんなのか…)




「…でも先輩…、

じゃあこの胸の痛みは

一体なんなんでしょう?」




「ゴホッ、ゴホ…」




(わ、わかってないの?!…鈍感…)



「理乃さん!どうしたんですか?!」


「あ…いや…」



(しょうがないかぁ…恋どころか
友達もいなかったんだもんね)


「……沙田ちゃん、さっきのことが分かれば、

その痛みの理由も、すぐに見えてくると思うよ?

だから…あきらめず、

周りのことをじっくり

みてみたらいいんじゃないかな」




(沙田ちゃんならきっと見つけられる…)



理乃さんは自信ありげな表情で私をみつめた




「頑張って!沙田ちゃん!」



そういって私の手を握って顔を近づけた




あ…理乃さんって
唇の左したにほくろあるんだ・・・