『美香ってさ……』


そう言ったきり、黙ったままの圭。


どうしたワケっ?!



何泣きそうな顔してんのよっ!!


…わけ分かんない!



「……圭?」



自信なさ気な声で、圭に呼びかけると。




『…ごめん……今の、忘れて………。』


悲しげで、か細い返事が返ってきた……。




「…分かったけど……。アンタ、大丈夫?」


珍しく、心配になってしまった……。



私の問い掛けに圭は……



『ダイジョブダイジョブ!!ほら、そんな顔しない!!あっ、オレを心配してくれてんの?!』




いつも通りの圭に戻っていて。


そして、……無理に笑ってた。



長年連れ添ってきた仲だから、そういうの、分かるんだよね……。


そんじょそこらの人には、絶対に分からない。


……だからこそ、圭は、心の鬱憤を他人に晴らす事もできない。


今も、わざとおちゃらけてバカやってんだから……。



見てて、ツライ。


だけど、アタシは圭に合わせる事しかできない…


「バカ!!誰がアンタなんかの心配なんかするかっての!!」


だから、アタシはいつも通りに合わせてやる。



『うっわ!ヒドッ!!オレの心、ブロークンハート!!!!』




……まあ、こんなのにも慣れたけど。