夜遅くになって、アイリスやシーが電話をくれたけど…


「ゴメンね。飲み過ぎて気分悪くなっちゃったから、先に失礼させてもらったの」


 私はこう、言っただけで大事な事は話せないでいた。


 寝室での雅治と女の子の2人だけの会話を話す事に戸惑いを感じるのだ。


 会話の内容を話してしまえば、私以上にアイリス本人がショックを受けてしまうのは目に見えている。


 雅治の恋人は…


 本当はアイリスではなく、黒沼ヘレナと名乗るその女の子なのだから。


 私はしばらく、この複雑な思いを抱きながら悶々と過ごす羽目になってしまった。