【BL】風鈴が鳴る頃に[短編]

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終わって、しまった。


最後にバンッッと、特大花火を頭上高くに打ち上げて。火薬の匂いを残しながら。


ーー何故だか胸がドキっとした。


人々が帰路に着くため、ゾロゾロと流れていく。

……あぁ、花火大会は終わったのか。



ドサッと小さな音がして、下を見ると君がいた。さらりと着地した君は、今度は俺に向かって腕を広げる。


「飛び込んできたっていいんだぜ」




なんだよそれ。誰が、んな恥ずかしいことするかよ。
……何だか無性に胸が締め付けられて、苦しかった。


「降りるぐらい余裕だっつーの。腕なんていらねーから」


語尾が震えた。
ーーこの木を降りたらさよなら、だ。


ドサッと大きな音を立てて着地した、と思ったが少しよろける。誰かさんみたいに、かっこよく着地出来なかった。
間も無く、足裏にビリッとした電撃が走り、思わずうっ、と顔を歪める。


それを見て、ふっと吹き出すお前。


「見事な着地じゃないか」だなんて言ったけど、そんなの微塵も思ってない癖に。


俺の頭を撫でるその掌の感触を感じながら、根源の分からない謎の寂しさに耐えた。



(……だからなんなんだよッッ)


喉の奥の方に何かが詰まってるような不快感。
熱く込み上げてくるこの感情に気付かないように、そりゃ必死に抑え込んだ。