すると目の前の王子様は、

『へぇ、1-B速水莉里...か』

と意味深な笑みを浮かべ、それだけを言ったあと裏庭から出て行った。



あたしは彼の後ろ姿をただ呆然と見ていた。


すると美咲ちゃんに強く手を引かれ、そのままあたし達も裏庭から出た。


美咲が強く手首を握っているからあたしは痛みに顔を歪ませた。


『ちょっ、美咲ちゃん痛いよ』


『莉里、あの人の事知ってるの!?』


と訴えると美咲ちゃんは興奮したような顔をあたしに向けた。


『へ?いや?知らないよっ??
美咲ちゃんは、あの人の事知ってるの?』

なんて聞かれたあたしはほうけた声を出してしまった。