するとあたしの目の前にいた王子様が口を開いた。


『ねぇ、君名前なに?』


と、確かにそれはあたしに向けて言った言葉だったけれど声すらも美しく、あたしは黙ってしまった。


『ねぇ、聞いてるの?』

と少し不機嫌になった王子様の声であたしは我に返った。


『すいませんっ、1-Bの速水莉里ですっ』


と慌てて答えた。