夏の日の出来事



エレベーターに乗って、3階を押す


「親、居ないからさ」


「え?」


由愛は驚いてる


「死んではいないよ。まあ死にかけ?」


「死にかけって...」


ただの入院だけどね~


「3年前に事故ってさ」


「3年前...?」


「うん。中学の入学式の途中でさ。事故ったんだよね」


そう...由愛の両親との事故


ポーン


エレベーターが止まった


「こっち、こっち」


「ちょっ...」


由愛の腕を掴んで引っ張る


「心配しなくても、このマンションは同じ高校の連中居ないから」


そう、同じ高校の連中は居ない


だからこのマンションを選んだ


ホッとした様子の由愛


何を心配してんだか分からねえけど


「ここだよ、入って」


鍵を開けて、中へ入れた


「お邪魔します...」


壁に飾ってある、家族の写真をじっと見る由愛


...バレたか...?


でも、由愛がちょっとだけ笑った気がした