夏の日の出来事



...最悪すぎる...


由愛はまだ居た


俺、10分かけて歩いたよ?


なのにまだ居るって...


「...また1年後、来るからね」


踵を返して振り返ってしまった...


と、同時に由愛は止まった


「...どうして?」


そりゃどうして、になるよな...


どうしよう...


「ごめん...ついてきた」


「...今見たこと、全部忘れて」


由愛は走って行こうとする


「由愛!!」


俺は咄嗟に呼び止める


由愛は止まる


だけど、振り返らない


「由愛、泣きそう」


「...全部忘れて!!」


由愛はそう叫んで走った


「由愛!!」


俺はまた叫んだ


だけど止まらずに走った


「...クソッ...」


俺は花束の前で手を合わせた


『――由愛を、笑わせたいんです。罪滅ぼしとかじゃなくて...本当に笑わせたいと思うんです。...お願いします。俺に...チャンスをください』