夏の日の出来事



「じゃあ俺、家こっちだからさ」


「うん、また明日ね」


由愛とはあえて反対方向を指差す


遠回りして行けば会わねえよな


だけど、由愛の目が気になって腕を掴んでいた


「...どうしたの?」


「いや...」


由愛の目が、悲しそう


そりゃ当たり前か...


3年前、親が死んだんだ


俺だって悲しむ...


「聖夜、離して?」


「あぁ」


あ、ちょっと由愛の目が明るくなった気がした


「...聖夜」


「あ、悪りぃ!!」


パッと離す


やべぇ...


握りすぎた...


「大丈夫?ぼーっとして...」


「大丈夫、なんでもねえから」


「そ。じゃあ明日」


「おう」


由愛は背を向けて歩き出した


これで由愛とは会わねえよな


俺も...会いたくねえから