「あたしはあなた方を一生許すつもりは微塵もないです。貴方達が...前方不注意さえしなければ...2人は死なずに済んだんです。そしたら一緒に...入学式にも参加出来たんです」


「あなたも、一緒です。たとえ運転していた人は旦那さんだったとしても、同乗していたあなたもあたしは一生恨みます。何度謝られても、何度許してと頭を下げられても、あたしの答えは一緒です。ずっと恨むことを決めましたから」


あたしは制服をめくってお腹の傷を見せる


聖夜の表情が一瞬、曇った気がした


「手術をしたときの傷です。この傷は一生消えてくれません。あたしは、この傷と一緒にあたし自身を愛してくれる人を探さなければなりません。だから覚悟を決めました。一生...この傷を大切に想おう、と」


「許すのは、あたしの勝手ですよね?だからあたしはあなた方を一生苦しめるつもりです。同じ屈辱を味合せるためです。大切な人を一瞬にして消される苦しさを...あたしの一生を懸けてでも...」


「あたしを恨むのも勝手ですからどうぞ恨んでください。だけど、それ以上にあたしはあなた達を恨み、嫌い続けます。もしこの世界に裁判がなければ、あたしはあなた方を殺したいと思っていますから。だから...もう2度と近寄らないでくだあさい。お金ももう要りませんしもらいたくないです。ただの同情でしょう?そんなの、あたしには必要ありませんから」


涙を拭いて、聖夜だけを睨む


「もう、あたしに構わないで。あたし達に...近寄らないで。近寄ったら...聖夜を殺す」


「由愛...」


「お邪魔しました。コーヒー、ありがとう」


手紙を封筒に入れてテーブルに置く


カバンを持って、マンションから出た