「...もう3年も経つんだね」


璃乃が夏空を見て、呟く


「――うん」


そう...もう3年が経つ


――お母さんとお父さんが死んでから


「由愛、大丈夫?」


「ん?へーきだよ、もう」


「3年前から、由愛は一切笑わなくなったよね」


「そう?笑う機会がないからかな」


「そっか...今日も行くの?」


「今日も、じゃなくて今日は、でしょ?毎日行ってないんだし」


「あ、そうだっけ」


あはは、と笑う璃乃


「ついて行こうか?」


「1人で平気だって!!...ありがとね、梨乃」


「ん」


璃乃は笑う


あたしは笑えない


笑うことを忘れた


3年前、お父さんとお母さんは死んだ


中学の入学式に向かう途中、あたし達は車で事故った


原因は相手の前方不注意


本当はあたしも死ぬべきだったのに...


お母さんがあたしをかばってくれたおかげでこうして生きていられる


だけど、痣だけは残った


お腹に出来た、手術の痕