聖夜が居てくれたから、夏がちょっとだけ好きになった


聖夜は布団の中でスヤスヤ眠ってる


聖夜には...届いてるのかな?


あたし、救われたよ


「ん...由愛...?」


「起こしちゃった?」


「いや...体、痛くねえ...?」


「んー...ちょっと痛いかも」


「そっか...」


2人で背伸びをする


「ねえ、聖夜」


「ん」


「ありがと」


ほっぺにキスをしてあげる


「どした?」


「...あたしね、夏が大嫌いだった」


「ん」


そっとあたしの髪を撫でる


「夏ってさ、休み長いじゃん?だから、普通なら家族で出かけるだろうけど...あたしは一切出掛けずに毎日甲子園見てたの」


「ん」


「ニュースを見ればさ?家族が嬉しそうに笑ってるじゃん?あたし...すっごいツラくてさ...」


「ん」


聖夜が涙を拭いてくれる


「頼れる人はみーんな友達で...けど友達も家族が居るじゃん?あたしは...居なくて...いっつも1人だけだった」


涙が溢れてくる