夏の日の出来事



「北野は、知ってんのか?」


「何を」


「今も聖夜が北野を想ってるって」


「知ってんじゃねえ?俺、最後に言ったし」


「ふーん。これじゃあ思う壺だな」


「誰の?」


「お前、本当に知らねえのかよ」


「何をだよ。何の話してんだよ、お前は」


「...ダメだ、コイツ」


康祐は首を横に振ってる


意味分かんねえ


「聖夜さ、北野のことちゃんとわかってんのか?」


「当たり前だろ。俺は...アイツをずっと見て来たから」


「それ、ただ思ってるだけじゃねえ?多分北野の心、折れてると思う」


「由愛の心?」


どういう意味だよ


「俺にも分かるように説明しろよ」


「はぁー...お前ってこういうことに関しては不器用すぎる」


「うるせぇー。黙って教えろ」


「自分で考えろよ。北野の...すべてに関して思い出せ。そしたらきっと、分かるから」


「はー...」


めんどくせぇ...


そんなの分かんねえし


分かったとこで何も変えられねえし


「聖夜しか変えられないこと、絶対あるからよー」


「は?」


康祐はニッと笑って屋上から出て行った